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利益相反とは~企業にとって利益相反を管理することは大切な施策である~
利益相反とは、個人や組織が自らの利益を優先することで、他者や組織全体の利益と対立する状況を指します。信頼の低下や経済的損失、法的・倫理的リスクを招くため、企業は明確なルールや教育、透明性の確保によって適切に管理することが求められます。
- (1)利益相反とは何か?
- (2)何故、利益相反が問題となるのか。
- (3)利益相反防止のための対応策
- (4)利益相反の具体的事例
- (5)利益相反を管理する方法
- IFA Leadingのアドバイザーにお気軽にご相談ください
目次
(1)利益相反とは何か?
利益相反という言葉を耳にしたことはありませんか。利益相反とは、個人や組織が自己の利益を追求することで、他の人や組織の利益と対立する状況を指しています。例えば、ある会社の取締役が自分の家族が経営する会社と取引を行う場合、その取引が会社にとって最善ではない場合があります。利益相反は、ビジネス、政治、官公庁、非営利団体などさまざまな場面で発生しうる問題です。利益相反が発生すると、関係者の間に不信感が生じ、最悪の場合は法的な問題に発展することもあります。利益相反は一見分かりにくいことが多いのですが、その本質は「自分の利益を優先することで他者の利益を損なう可能性がある」状況ということになります。このような状況は、公平性や信頼性を損ない、組織全体の健全な運営に悪影響を与えることになりかねません。
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(出所)メディア情報等を基にIFA Leading作成。
(2)何故、利益相反が問題となるのか。
利益相反が問題になる理由は、その影響が多岐にわたるからです。その理由として以下の点が考えられます。第一に、信頼の低下です。利益相反が発生すると、関係者の間で信頼が損なわれます。例えば、株主や顧客が企業の決定が公正でないと感じると、その企業に対する信頼が低下し、長期的なビジネスに悪影響を及ぼすことになります。第二に、経済的損失が挙げられます。利益相反が適切に管理されないと、企業は経済的な損失を被る可能性があります。不適切な取引や契約が結ばれた場合、企業は不必要なコストを負担することになり、利益が減少することになります。一例として、昨今のようなインフレ環境下において、インフレスライド条項(インフレの状況に応じてコストを転嫁する)を付与しない契約は利益相反に繋がる可能性があると言えるでしょう。第三に、法的リスクが挙げられます。利益相反が明るみに出た場合、法的な問題に発展することがあります。特に、取締役や役員が自分の利益を優先して会社の利益を損なった場合、背任などの法的な制裁を受ける可能性があります。特に、取締役や役員は自身に関連ある会社との取引或いは自身と個人的に懇意にしている会社との取引については注意が必要です。第四に、倫理的問題があります。利益相反は倫理的な問題としても捉えられます。公正で透明な経営を行うためには、利益相反を避けることが重要です。倫理的な観点からも、利益相反は組織の健全な運営を妨げる要因となり得るのです(図表1参照)。
(3)利益相反防止のための対応策
利益相反を防止するためには、明確なポリシーとガイドラインを設定することが大切です。企業や組織は、利益相反が発生する可能性がある状況を事前に把握し、その対策を講じるためのルールを作成する必要があります。ポリシーには、利益相反が発生した際の報告手順や、利益相反を避けるための具体的な行動規範が含まれます。例えば、取締役や役員が自分の親族が経営する会社との取引を行う場合、その取引を事前に報告し、第三者的立場から適切な評価を受けることが求められます。ポリシーとガイドラインが明確であれば、従業員はどのような行動が利益相反を避けるために必要かを理解しやすくなります。利益相反の防止には、従業員へのトレーニングと教育も重要です。定期的なトレーニングセッションやワークショップを通じて、従業員が利益相反のリスクを理解し、適切な行動を取るための知識を身につけることができます。特に、新任取締役・役員・管理職、新入社員には、利益相反に関する徹底した教育が必要となります。また、利益相反の事例やシミュレーションを用いたトレーニングを行うことで、実際の場面でどのように対応すべきかを具体的に学ぶことができます。
(4)利益相反の具体的事例
次に、利益相反の具体的事例についてみてみましょう。取締役と親族企業の取引では、企業の取締役が自分の親族が経営する会社と取引を行う場合、その取引が公正かどうか疑われることがあります。取締役が自分の親族の利益を優先することで、会社全体の利益が損なわれるのです。また、官公庁の職員と契約先企業では、官公庁の職員が、自分の親しい友人が経営する企業と契約を結ぶ場合、その契約が公正かどうか問題となります。職員が友人の利益を優先することで、公共の利益が損なわれる可能性があるのです。具体的には、企業が新しいプロジェクトのために入札を行う際、入札プロセスが公正でない場合があります。例えば、入札担当者が特定の企業に有利な条件を提示することで、自分自身の利益を追求することがあります。さらに、企業の従業員が内部情報を利用して、自分自身の利益を追求する場合があります。従業員が会社の将来の計画を知っている場合、その情報を利用して自分の株式を売買することで利益を得ることがあります。この点に関しては、「インサイダー取引」として厳しく罰せられることになっています。
投資家は、さまざまな利益相反に対して目を光らせています。特に、コングロマリット経営を行っている企業に対しては内部取引における部門間の利益相反については懐疑的に見ています。ある会社が建設部門と不動産部門を抱えていて、不動産部門は自社の建設部門に対して建設工事を発注するとします。この場合、建設部門は高い価格で工事契約を締結しようとし、不動産部門は建築費を抑えるために安い価格で工事契約を締結しようとします。勿論、個別案件については損益開示をすることは無いので、実態はわかりませんが、セグメント利益でイレギュラーな数値が開示されると利益相反があるのではないかと受け止められる可能性があるのです。
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(出所)メディア情報等を基にIFA Leading作成。
(5)利益相反を管理する方法
利益相反を効果的に管理するためには、開示と透明性の確保が不可欠です。企業や組織は、利益相反が発生する可能性のある取引や状況をすべて開示し、関係者が適切に情報を把握できるようにする必要があります。これにより、不透明な取引や決定が行われるリスクを減らすことができます。取締役や役員は、自己利益に関連するすべての取引を開示し、社内で適切なレビューを受けることが求められます。また、開示された情報は、従業員や利害関係者が容易にアクセスできるようにし、透明性を高めることも重要です。当事者から独立した組織によるチェックとレビューも、利益相反管理において重要な役割を果たします。企業や組織は、利益相反のリスクを評価し、適切な対策が講じられているかを確認するために、外部の専門家や特別チームを活用することが望ましいと思われます。独立した意見は、社内のバイアスや不透明なプロセスを排除し、公正な評価を提供します。利益相反を管理する方法としては、「透明性」「公平性」「情報開示」がポイントになると言えるでしょう。
