一般社団法人活用について
~メリットとデメリットの双方を理解することが大切~

一般社団法人とは、一定の目的を持つ構成員によって形成される非営利型の法人です。本コラムでは、設立のメリットとデメリットを整理するとともに、会計や運営上の注意点、公益性の高い事業や協会ビジネスに適した法人形態について解説しています。

2026.05.13

コラム 未分類

一般社団法人活用について
~メリットとデメリットの双方を理解することが大切~

目次

01 社団法人とは何か?

社団法人という言葉を耳にしたことはないでしょうか。社団法人とは、一定の目的で結合した構成員(社員)によって形成され、法律により法人格が認められ、権利義務の主体となる団体を指します。法人格が付与されていない団体は「権利能力なき社団」と呼ばれ、社団法人とは区別されます。社団法人は、構成員の増減に関わらず存在し、法的に「人」としての権利を持つ組織です。そもそも法人を設立する場合、株式会社、合同会社、社団法人(一般社団法人、公益社団法人)のいずれかを選ぶ必要があります。さらに言えば、相互会社、特定目的会社、NPO法人、宗教法人、監査法人、労働組合、管理組合法人と多岐にわたりますが、ここでは、一般社団法人について整理してみたいと思います(図表1参照)。

(図表1)社団法人とは何か
01 そもそも「社団法人」とは何か
✓ 社団とは、一定の目的をもった人の集まり、団体のことであり、「社団法人」とは、法律によってその団体に法人格が与えられた法人を言います。社団法人は「一般社団法人」「公益社団法人」の2つに分類されます。
02 法人格とは何か
✓ 「法人格」とは、その団体名義で銀行口座を開設、財産(土地・建物などの不動産や自動車など)を所有するなどその団体名義で法律行為を行なうことができる「法律上の人格」を言います。
03 一般社団法人とは何か
法務局への登記のみで設立可能
✓ 一般社団法人は「非営利法人」ですが、公益性を求められてはいません。基本的には人の自由で公序良俗に反しない限りはどのような事業でも行うことができます。もちろん、株式会社のように収益事業のみを目的として設立することも可能です。監督官庁もありませんので、基本的には自由に事業を行うことができます。法人格のない団体、例えば各種学会や協会、同窓会、町内会、互助会などの任意団体を法人化するのに向いているといえます。
04 公益社団法人とは何か
✓ 公益社団法人となるには、一般社団法人のうち「公益事業を主な目的としている法人(公益目的事業を行うことを目的としている法人)」であることが必要です。公益目的事業とは、社会全般、不特定多数の利益の増進に貢献する事業が該当します。
✓ 一般社団法人の中でも公益認定等委員会から公益性を認定された法人であり、税制上の優遇措置を受けることができます。

(出所)メディア情報、法務省資料等を基にIFA Leading作成。

02 一般社団法人設立のメリット

それでは、まず一般社団法人設立のメリットについてみてみましょう。一般社団法人は、営利を目的としない(利益剰余金を分配しない)こと、法令等に違反していないこと、公序良俗等に反しないことの3点に抵触しなければ、どのような事業でも自由に行うことができます。一般社団法人は、少人数・低コストで設立でき、事業の自由度が高く法人格による信用も得やすい点が大きなメリットです。一方、利益分配ができず、税制や運営上の注意が必要であるため、事業目的や資金計画に応じて株式会社やNPO法人との比較検討が重要です。利益配分ができないという点に関しては、社員や理事に対して給与を払ってはいけないということではなく、株式会社のように利益剰余金から役員や株主(出資者)に対して利益を分配してはいけないということです。社員や理事に対しては、適切な給与を支払い、組織を運営するうえで必要な経費を計上することは認められています。非営利団体という性格上、一般社団法人は事業から得た利益は法人の活動資金として使用され、次年度の活動に繰り越すことができます。したがって、一般社団法人の定款には、「剰余金の分配を行わない」と明記する必要があるのです(図表2参照)。

ところで、一般社団法人は、設立に際して財産の拠出を必要とされていません。一方で、活動の原資となる資金調達の手段としては、基金制度が設けられています。基金とは、社員や社員以外の人から財産の拠出を受け、法人の基礎財産になるものです。ただし、出資とは異なり、基金は一定の要件や合意のもとに、返還義務を負います。基金の返還は一般社団法人の解散時になります。基金の拠出が絶対に必要ではありません。株式会社の資本金などとは異なり、基金は必ずしも必要ありません。基金の設置は、あくまでも当該一般社団法人の任意です。さらに、社員は一般社団法人の債務について責任は負わないという点もメリットと言えるでしょう。

(図表2)一般社団法人設立によるメリット
01 設立の容易さと低コスト
一般社団法人は、社員2名以上と理事1名で設立可能で、資本金や財産の出資は不要です。定款認証や登記などの法定費用のみで設立でき、概ね11〜13万円程度で済みます。株式会社や合同会社に比べて初期費用が少なく、少人数でも法人格を取得できる点が大きなメリットです。
02 事業の自由度が高い
NPO法人のように事業分野が限定されず、非営利であれば収益事業も行えます。得た利益は社員に分配せず、次年度以降の事業運営に回すことが可能です。資格認定や講座、イベント運営など、複数の事業を組み合わせた運営も容易です。
03 法人格による信用と契約能力
法人名義での契約や口座開設が可能で、個人事業主よりも信用力が高く、協会ビジネスや会費収入モデルに適しています。
04 社員の柔軟性
社員は個人だけでなく法人も可能で、入会条件を設定できるため、法人の目的に合った会員構成が可能です。
05 行政監督の制約が少ない
一般社団法人には監督官庁がなく、行政への報告義務や事前認証が不要です。NPO法人のような所轄庁による制約がなく、運営の自由度が高いです。

(出所)メディア情報、法務省資料等を基にIFA Leading作成。

03 一般社団法人設立のデメリット

次に、一般社団法人設立によるデメリットについて考えてみましょう。メリットだけを見て設立すると思わぬ痛い目を見るリスクがあるため、あらかじめデメリットも把握しておくことが大切です。一般社団法人のデメリットとしては、①会計処理が複雑である、②理事や監事の更新のたびに登記が必要、③書類作成の煩雑さや手間が掛かる、④毎年一回は必ず社員総会を開催しなくてはならない、⑤社員に利益を配分することができない。⑥非営利型でない限り株式会社と実態が変わらなくなる、⑦株式による資金調達や上場が不可能、⑧株式会社と同様に社会保険への加入手続きが必要、といった点が挙げられます。注意すべきなのが、非営利型か営利型によって会計処理の方法が異なることです。実態に合わせて会計処理を変える必要があるので煩雑になります。また、収益事業とそれ以外の事業でも会計処理を分けて行う必要があります。いちいち分けて処理しなくてはならないため、経理の手間が増えてしまいます。他にも補助金による収入などが多い場合には、消費税に関して例外的な会計処理を行う必要があるなど、処理内容は一般的な株式会社と比較して複雑です。たとえ小規模に事業を行うとしても、会計処理は必須です。一般社団法人の会計処理に関する知識がないと、満足に事業を運営できないので注意を要することになります。任意団体や個人事業主と比べた場合、書類作成の煩雑さや手間が増える点も、一般社団法人のデメリットとなります。役員の登記でも面倒な書類作成が必要です。毎年一回行う社員総会に必要な資料や会計処理で必要な書類など、あらゆる場面で頻繁に書類作成の義務が発生します。株式会社や個人事業主とは必要な書類や作成方法が異なることも多いため、新しくその知識を付けなくてはいけません。書類作成に意外と手間がかかるため、本業に集中したくてもできなくなるリスクもあるので注意しなければなりません。

(図表3)
一般社団法人設立によるデメリット
01 利益配分ができない
非営利法人であるため、社員や理事に利益を分配することはできません。収益事業で得た利益は法人内で再投資する必要があります。
02 税制上の注意
一般社団法人は「非営利型法人」と「普通型法人」に分類され、非営利型であれば税制上の優遇がありますが、収益事業からの所得は課税対象となります。要件を満たさない場合は普通型法人となり、全ての所得が課税対象となります。
03 社員・理事の責任
社員や理事は法人運営に関与するため、運営上の意思決定や経費負担が必要です。特に設立初期は事業収入を確保しないと運営が困難になる場合があります。
04 信用面での制約
株式会社のように資本金がないため、金融機関や取引先によっては信用力の評価が低くなる場合があります。ただし、事業内容や会員モデルによっては問題にならないケースも多いです。

(出所)メディア情報、法務省資料等を基にIFA Leading作成。

04 一般社団法人に適している分野とは何か

これまで、述べてきたように、株式会社や個人事業主の代替手段として一般社団法人を設立するには慎重に取り組まなければなりませんそれでは、一般社団法人にはどのようなビジネスが適しているのでしょうか。第一に、公益性や共益性の高いビジネスを行いたい場合、一般社団法人が適していると言えるでしょう。公益性とは、幅広い人にとって利益となることを意味します。たとえば、医療や福祉、教育などの分野に関する事業は幅広い人からのニーズがあるため、公益性が高いビジネスと言えます。また、貧困や性差別などの社会問題の解決を目指すビジネスも公益性が高いため、一般社団法人での運営に適していると考えられます。第二に、協会ビジネスを行うケースにも適していると言えるでしょう。協会ビジネスとは、特定の業界や地域、職業の分野において、共通利益の獲得や社会貢献を目指す「協会」を設置し、収益を得ようとするビジネスモデルです。たとえばマイナーなスポーツを普及させるための協会や、特定業種の人たちが集まって社会貢献を目指す協会があります。協会ビジネスは、特定業種や職業、地域の知名度向上や活性化などのメリットを期待できます。また、協会内の社員が同じ利益を共有しつつ、社会的な貢献活動も可能となります。ポイントとしては、利益追求よりも社会的課題の解決や地域社会への貢献を重視する業態に向いているということが言えるのではないでしょうか。

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村松 麻衣子

ウェルスマネジメント戦略部マネージャー

村松 麻衣子

Maiko Muramatsu

2014年に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社後、浜松支店にて資産運用コンサルティング営業に従事。その後米国モルガン・スタンレーNY本社へ出向し、米国における超富裕層向け営業や営業員育成に関する知見を習得。帰国後は超富裕層向け営業サポート部署に所属し、米国で主流のアドバイザリービジネス推進や非運用(相続・事業承継)領域含む総合ソリューション提案に従事。2024年、日本の金融サービスの変革を目指す姿に魅力を感じIFA Leadingに入社。

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