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セミリタイアとは ~アーリーリタイア、FIREとの違い~
セミリタイアとは、会社を早期退職した後、自由な時間を確保しながら生活に必要な分仕事をするスタイルを意味します。この記事では、セミリタイアについて、そのメリット、デメリットを踏まえ解説していきます。
- (1)セミリタイアとは何か
- (2)セミリタイアとアーリーリタイアとFIREの違い
- (3)セミリタイアのメリットとデメリット
- (4)セミリタイアをするには幾ら必要か
- (5)セミリタイアに伴うシミュレーション
- (6)セミリタイア成功のカギとは何か?
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目次
(1)セミリタイアとは何か
最近、「セミリタイア」という言葉を耳にすることがあります。セミリタイアとは会社を早期退職した後、自由な時間を確保しながら生活に必要な分だけ仕事をするライフスタイルを意味しています。定年まで会社に勤め、退職金と年金で老後を過ごすのが一般的なリタイアですが、セミリタイアでは会社を退職した後も必要最低限の収入を得るために仕事を行うのが特徴です。すなわち、完全にリタイアするのではないということです。セミリタイアをすると定年まで勤め上げる場合よりも若い年齢から自由な時間を確保できます。しかし、退職金が満額もらえないうえ年金を受給するまでに期間があるため、必要最低限の収入は確保しなければなりません。ある程度の蓄えがあるならば、自分の好きな時間に好きな仕事をして生活するというライフスタイルも実現可能なのです(図1参照)。
(2)セミリタイアとアーリーリタイアとFIREの違い
また、「アーリーリタイア」や「FIRE(Financial Independence Retire Early)」はセミリタイアと似た意味で使用されますが、厳密には次のような違いがあります。セミリタイアとは、ある程度の資金を持って早期退職し、生活に必要な収入を得ながら生活するというスタイルです。これに対して、アーリーリタイアとは、定年制度や早期優遇退職制度に満たない状態で退職し、自由な生活を送るというものです。退職後は仕事をしないため、まとまった資金が必要となります。一方、FIREとは、投資や資産運用から得られる不労所得が生活費を上回っている状態で早期退職するというものです。退職後は投資や資産運用をしながら自由に暮らすことになります。アーリーリタイアは必ずしも資産運用の収入で生活費用をまかなっている訳ではないため、貯蓄を取り崩しながら生活する場合もあります。なお、退職後に仕事をするのはセミリタイアのみとなります。
(3)セミリタイアのメリットとデメリット
次にセミリタイアのメリットとデメリットについて考えてみましょう。セミリタイアのメリットは、自由な時間と場所を手に入れられることです。毎日、決まった時間にオフィスに出社して、上司の顔色をうかがって仕事をする必要がなくなります。田舎に引っ越しをして趣味に没頭することもできるかもしれません。一定の収入が確保できれば経済的余裕が生まれるかもしれません。一方、セミリタイアのデメリットとしては、収入が安定しないこと、そして社会的信用が低下することです。セミリタイアの場合、一定の収入を確保することが前提となりますが、正社員としてフルタイムで働くわけではないので、必ずしも収入が安定しないかもしれません。また、健康管理、税金や社会保険といった手続きも自分で行わなければならないため、仕事や趣味以外に時間を取られるかもしれません。知人に会った時には、勤め先を聞かれて困ってしまうかもしれません。また、クレジットカードを作ったり、住宅ローンや消費者金融などによる借入契約をしたりする際には、審査が通らなくなるかもしれません。
(4)セミリタイアをするには幾ら必要か
それでは、セミリタイアするには幾ら必要なのでしょうか。この点については、個人個人によって生活費が異なるので何とも言えませんが、30歳代であれば1,500~3,000万円、40歳代であれば3,000~5,000万円、50歳代であれば5,000~7,000万円程度必要と言われています。30歳代であれば再び働くことができますし、40歳代の場合、教育費や住宅費が嵩む年代だからです。50歳代の必要貯金額が多いのは、リスク性金融資金のウエイトを高めることが望ましくないために、ある程度貯金の取り崩しが大きくなることを想定してのものです。いずれにせよ、生活費は個人によって事情が異なりますので、幾らあれば大丈夫ということにはならないと思います。セミリタイアを実現するためにチェックすべきことは、①セミリタイアによってどのくらい収入が減るのかというシミュレーション、②セミリタイアまでにどの程度の貯金を確保しておくべきか、③セミリタイア後の資産運用プラン、④セミリタイア後の生活水準、⑤自身や家族の健康状態、といった点になると思います。何といっても大切なことは、自立した家計を維持できるかということになります。
(5)セミリタイアに伴うシミュレーション
セミリタイアをするに当たってチェックすべきことは、第一にセミリタイア時点でどの程度の貯金があるかであり、第二に毎月の生活費をどのくらいと見積もるかということであり、第三にセミリタイア後の収入がどのくらいになるか、といった3点となります。仮に、セミリタイア時点での貯金残高が5,000万円とします。この方の生活費が毎月30万円で、収入が15万円の場合、毎月15万円ずつ貯金を取り崩すことになります。10年間での貯金取り崩し額は1,800万円となるので、運用などによって貯金額を増やすことが出来なければ貯金残高は3,200万円に減ってしまいます。このペースではセミリタイア後25年を超えたあたりで貯金額は底をついてしまうことになります。そうならないためには、生活費を見直すか、収入を増やすか、運用などによって貯金額を増やさなければなりません。毎月の収支が赤字続きの状態であれば、やがてこうした事態に陥ってしまうかもしれませんので、衝動的なセミリタイアはリスクが伴うことを認識しなければならないと思います。
(6)セミリタイア成功のカギとは何か?
セミリタイアに取って大切なことは、如何にして資産を管理し、運用していくかということです。低金利時代に資金を銀行預金だけに置いていては資産を増やすことはできません。5,000万円の貯金があるとしたら、株式、投資信託、保険商品、普通預金などに資金を振り向けることが必要です。金融商品によっては、キャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(配当収入)の両方を享受することもできます。仮に年間5%程度の運用収益を得られるとしたら、1,000万円の投資資金に対して50万円のリターンがあることになります。配当収入を加味すれば、収入源を増やすことができるかもしれません。但し、株式や投資信託の場合、値下がりリスクもあるので、頻繁に売買を繰り返すのではなく、長期スタンスで取り組むことが大切になります。資産運用については、専門家の助言を得ることが望ましいと思われます。