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2025.10.29 コラム

マイナンバーカードを理解する~メリットとデメリットを理解することが大切~

マイナンバーカードは、身分証明や行政手続きの簡素化に役立つICチップ付きのカードです。公的書類の取得やマイポータルの利用が可能な一方、紛失や情報漏えいのリスクもあります。利点と注意点を理解し、適切に活用することが重要です。

(1)そもそもマイナンバーとは何か?

マイナンバーとは、日本に住民票がある全員に対して割り当てられた、1人1つの個人番号です。情報漏洩の恐れがあるなどといった重大なケースを除き、番号は一生涯変更されることはありません。マイナンバーは12桁あります。マイナンバーは日本に住民票がある個人に割り振られた番号ですが、同様に法人にも割り振られています。法人に割り振られた番号は法人番号で、13桁あります。法人番号は「法人マイナンバー」とも呼ばれ、株式会社や一定の規定を満たした機関や団体に発行されます。なお、個人事業主は該当しません。イナンバーが付与されるのは、住民票が日本にある人です。外国籍の人であっても、日本国内に転入し、住民票がある人にはマイナンバーが付与されます。

(2)マイナンバーが出来た目的とは何か

マイナンバー制度が発足した目的としては、①行政の効率化:情報の照合や入力などにかかる時間の削減、②利便性の向上:添付書類の削減や行政手続きの簡素化、③公平公正な社会の実現:所得状況などを把握することで、負担を不当に免れることや不正給付などを防止、といった点が挙げられますもう少し具体的に説明すると、行政の効率化という点では、行政機関や地方自治体などで、さまざまな情報の照合、転記、入力などに要している時間や労力が削減することが期待されるわけです。また、利便性の向上という点では、添付書類の削減などで、行政手続きが簡素化され、国民の負担が軽減されることが見込まれています。行政機関が持っている自分の情報を確認したり、行政機関からさまざまなサービスのお知らせを受け取ったりすることができるのです。そして、公平公正な社会の実現という点では、所得や他の行政サービスの需給状況を把握しやすくなるため、負担を不当に免れることや給付を不正に受けることを防止するとともに、本当に困っている人にきめ細かな支援を行うことが出来るのです。なお、引っ越しなどで住所が変わった場合でも、同じ番号を使うことで無駄を防ぎ、公平・公正な社会を目指すことができるのです。

(3)マイナンバーカードの基礎知識

次に、マイナンバーカードについて整理してみましょう。マイナンバーカードとは、住民の方からの申請により無料で交付される、氏名、住所、生年月日、性別などが記載された、顔写真付きのプラスチック製のカードです。カードの表(おもて)面は顔写真付きの本人確認書類として利用できます。また、裏面にはマイナンバー(12桁の番号)が記載されており、法令または条例で定められた手続におけるマイナンバーの確認に利用できます。ICチップを利用してオンライン上で安全かつ確実に本人であることを証明できるため、デジタル社会に必要なツールとなっています。日本政府は、このマイナンバーカードの普及と利活用の促進に取り組んでいます。マイナンバーカードは、金融機関など本人確認の必要な窓口で本人確認書類として利用できますが、個人番号をコピー・保管できる事業者は、行政機関や雇用主等、法令に規定された者に限定されているため、規定されていない事業者の窓口において、個人番号が記載されているカードの裏面をコピー・保管することはできません(図表1参照)。

(図表1)
マイナンバーカードに関する基礎知識
(1)マイナンバーとマイナンバーカードとの違い
① マイナンバー(個人番号)は、2015年に住民票のある全ての国民・外国人に付番が完了した12桁の番号そのもの。
② これに対してマイナンバーカードは、申請して交付されるプラスチック製のICカードである。
③ マイナンバーの利用範囲は社会保障、税、災害対策に限定され、それ以外に使用することは禁止されている。
④ マイナンバーカードは、ICチップ内の電子証明書に「空き領域」を活用し、官民の分野を問わず対面でもオンラインでも本人確認手段として幅広く利用されている。
(2)マイナンバーカードの形態とは
① マイナンバーカードは原則としてICカード型のものだけを指している。
② 一方、2025年6月24日以降、iOS機種へマイナンバーカードの全機能が搭載可能となった。
③ 将来的に個人番号を記載しない「ナンバーレス化」も検討されていたが、2028年度に発行予定の次期カードの仕様でも、個人番号の券面記載は継続する方針となっている。
(3)マイナンバーカードの普及状況
① 日本の住民票に登録された日本人および外国人が保有し、健康保険証利用や公金受取口座の登録が行われている。
② 2025年8月末時点での保有枚数(純保有有効数)は全国で約9,881万枚、日本の人口に対する保有率は79.4%。
③ この枚数は、自動車運転免許の保有者数約8,174万人よりも約20%多くなっている。

マイナンバー制度とマイナンバーカード> マイナンバーカード(総務省)

https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html)を基にIFA Leading作成。

(出所)メディア情報を基にIFA Leading作成

(4)マイナンバーカードのメリットとは何か

ここで、マイナンバーカードのメリットについて考えてみたいと思います。第一に、公的な身分証明書として使うことが出来ることが挙げられます。運転免許証が無い場合、身分を証明するための書類を複数用意しなければならないことも少なくありません。しかし顔写真入りのマイナンバーカードがあれば、これ一枚で証明できるのです。第二に、マイポータルを利用できることが挙げられます。マイナポータルとは、政府が運営する行政手続きが可能なオンライン窓口システムのことです。所得税をはじめとする税金の申告や、さまざまな行政手続きがオンラインでできます。但し、マイナポータルは、マイナンバーカードがなければ利用できません。時間・場所に縛られることなく行政関連の手続きができるマイナポータルを利用できれば、わざわざ市役所などに足を運ぶ必要がなくなるので、マイナンバーカードのメリットといえるでしょう。第三に、コンビニで各種証明書が取得できる点も、マイナンバーカードのメリットといえます。マイナンバーカードがあれば、コンビニで戸籍謄本の入手が可能です。近くのコンビニで取得できるので、わざわざ本籍の市役所へ行ったり郵送で依頼したりする必要はありません。このほかにもマイナンバーカードには幾つかのメリットがあります(図表2参照)。

(図表2)
マイナンバーカードのメリットとデメリット
(1)マイナンバーカードのメリットとは何か
① 運転免許証と同様に「公的な身分証明書」として使うことができる
→ 氏名、生年月日、性別が記載されている。
② 電子仕様書により「証明書の取得」ができる
→ コンビニなどで住民票の写し、戸籍謄本等を発行することができる。
③ 電子証明書により「オンライン申請」ができる
→ e-Taxを使っての確定申告の際に、ログインの認証として使える。
④ マイナポータルの利用が可能になる
→ 行政機関が持っている自分の情報を確認し、各種オンライン申請ができる。
⑤ 自治体ポイントが貯まる
→ 各自治体のボランティア・健康事業などに参加するとポイントが貯まる。
⑥ 健康保険証として使えるようになる
→ すべての医療機関でマイナンバーカードを健康保険証として使えるようになる。
⑦ スマホに連動させる
→ サイトなどのID・パスワードが不要になる。ネットショッピングが簡単になる。※検討中
(2)マイナンバーカードのデメリットとは何か
① 「記載内容変更」の手続きが必要
→ 引越しや結婚によって記載内容に変更が生じた場合には14日以内に手続きが必要。
② 引越し先で「継続利用」の手続きが必要
→ 退去し他の自治体へ転居を届けた際「継続利用」の手続きが必要になる。
③ 有効期限がある
→ 発行後、未成年の場合は発行から5回目の誕生日、20歳以上の場合は発行から10回目の誕生日が期限。
④ 紛失した場合はさまざまなリスクがある
→ すり替えや紛失によって個人情報が流出する危険性がある。

マイナンバー制度とマイナンバーカード > マイナンバーカード(総務省)

https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html)を基にIFA Leading作成。

(出所)メディア情報を基にIFA Leading作成

(5)マイナンバーカードのデメリットとは何か

逆に、マイナンバーカードのデメリットとは何でしょうか。盗難・紛失のリスクがある点は、マイナンバーカードの最大のリスクと言えるでしょう。マイナンバーカードが、クレジットカード程度の大きさだからです。マイナンバーカードには住所・氏名といった個人情報が掲載されているため、万が一紛失した場合には悪用される恐れがあります。盗難の危険性もあることから、取り扱いには注意が必要です。但し、カード本体には特殊加工などが施されており、偽造という点では可能性が低いと言えます。また、総合フリーダイヤルは24時間365日対応しているので、万が一紛失・盗難にあった場合は速やかに連絡をして警察にも届出を行ってください。

(6)マイナンバーカードの保有状況

最後にマイナンバーカードの保有状況をみてみましょう。2025年9月末現在のマイナンバーカード保有枚数は9,908万枚余となり、全人口に対する保有枚数率は79.7%となりました(図表3参照)。3年前の2022年9月末に比べると60.7%増加したことになります。ここでの人口とは、日本に居住する日本人及び在留外国人を対象としており、およそ5人のうち4人がマイナンバーカードを保有していることになります。なお、在日外国人はマイナンバーカードを持っていると、在留手続きを行いやすいといったメリットがあるようです。こうしたなかで、マイナンバーカードに対するネガティブな意見として、「マイナンバーカードを作ったのに生活が便利になった実感がない」、「作成後に追加手続きが発生し、想定外の手間がかかった」、「カードの紛失・盗難や個人情報漏えいが不安だ」といった声が聞かれます。こうしたネガティブな意見に対して、政府が利用方法やメリットをわかりやすく説明することこそ、マイナンバーカードの更なる普及、利便性の向上、機能の改善に繋がっていくのではないでしょうか。

(図3)マイナンバーカードの保有状況

マイナンバー制度とマイナンバーカード > マイナンバーカード交付状況について(総務省)

https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html)を基にIFA Leading作成。

(注記)特別区・市は指定都市を除いた数値。

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