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2024.08.26 コラム

キャリー取引とは

キャリー取引という言葉を目にする機会が多くなっています。数年前と比較した大幅な円安水準、最近の外国為替市場の大きな動きなどはこのキャリー取引が影響しています。この記事ではキャリー取引について解説します。

(1)キャリー取引とは

キャリー取引とは、金利が低い通貨で資金を借り入れ、金利の高い通貨で運用して利ザヤを稼ぐ手法のことで、機関投資家やヘッジファンドなどが主に行っています。その中でも円で借り入れを行い、それを米ドルなどの金利の高い通貨に替えて、米ドル建ての債券などに投資をして利ザヤを稼ぐことを円キャリー取引と呼んでいます。

円売り外貨買い→円安

(2)円キャリー取引と為替・金利の関係

まず、円キャリー取引が為替市場にどのような影響を与えるかを確認します。円キャリー取引が増えている

状態であれば、借り入れた円を外貨に替える(円を売って外貨を買う)量が増えるため、円安外貨高要因になります。逆に、円キャリー取引が減少している状態であれば、外貨を円に替える(外貨を売って円を買う)量が増えるため、円高外貨安要因になります。

各国の金利見通しや金利水準も大きくキャリー取引に影響します。特に内外の金利差が拡大する場合は、円キャリー取引がより盛んになる可能性があります。キャリー取引を行う上では、短期金利が重要な指標となっているので、円の短期金利が低い状態であれば、円が借りやすい環境であったということになります。

日米短期金利差

(3)円キャリー取引の動向

2023年後半から円キャリー取引が活発化していました。直近までは2007年以来の過去最大水準まで円キャリー取引の量が膨れ上がっていました。その後、急激に円キャリー取引が解消されたことで、為替も大きく円高方向へ調整した状態になっています(下図参照)。

日本の金利は長らく低金利で推移していました。その中で米国が2022年から利上げを始め、もともと0.25%であった政策金利を5.5%まで大幅な利上げを実施しました。内外の金利差が大きく広がったことに加え、米国の金利が高水準で維持され、日本が緩和策を継続するとの見通しから、米ドル高円安での推移がしばらく継続する見方が色濃くなりました。そのため、米ドル円の変動(ボラティリティ)が落ち着いたことで、円キャリー取引を後押ししたとみられます。

為替のボラティリティが低下するということは、為替の振れ幅が小さくなることを意味しますので、円を借りて外貨に投資をする円キャリー取引が行いやすい環境になったということになります。

(4)円キャリー取引の今後

投機筋のネットポジションの推移を確認すると、足元では円キャリー取引が急速に解消されています(下図参照)。今回の解消は、7月の日銀のタカ派化と為替介入などがきっかけになりました。

足元の米ドル円は、行き過ぎた円キャリー取引のポジションの巻き戻しが行われたことで、一旦は落ち着きを取り戻していますが、今後の日米の金融政策の動向によっては、円キャリー取引の活発化も考えられます。

米ドル円と投機勢のネットポジション

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