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金投資について ~安全資産としての金を保有するメリットに着目~
金投資が改めて今注目されています。この記事では、金への投資方法やメリットデメリット、注意点などを解説していきます。
- (1)金は全世界で共通の価値を持っている
- (2)金投資には幾つかの方法がある
- (3)金投資の方法
- (4)金投資のメリットとデメリット
- (5)金投資に関わる失敗事例と成功への近道
- (6)金の価格推移
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目次
(1)金は全世界で共通の価値を持っている
昨今、金投資が改めて注目されています。金投資のメリットとしては、埋蔵量に限りのある鉱物であるため、無価値になることがなく、有事に強いことが挙げられます。一方、金価格は為替の影響を受けるほか、金を保有しているだけでは利益が出ず、また短期間で大きな利益を上げるのは難しいといったデメリットがあります。金は古代エジプトや日本の小判・歴史的な建築物など幅広い年代で重宝され、人々を魅了してきました。金投資は普遍的な価値を持つ金に投資することで、金貨やインゴットなどの金地金(きんじがね)を購入したり、投資信託で積み立てたりする方法があります。「有事の金」ともいわれるように、社会情勢が不安定なときやインフレ時に価値が高まる傾向があります。株式とは逆の値動きをしやすいため、バランスの取れたポートフォリオ構築に役立ちます。株式のみでは資産を守るのに心もとない投資家にも、おすすめの投資商品です。
(2)金投資には幾つかの方法がある
金投資の対象となる金貨は地金型金貨とも呼ばれ、世界各国で発行されています。地金型金貨の多くが24金製や22金製で、発行される国によって発行数やデザインに違いがあります。代表的な金貨には、カナダの「メイプルリーフ金貨」やアメリカの「イーグル金貨」などがあり、投資商品として人気となっています。金貨は発行される国によって小売価格が異なるため、金地金よりも割高になります。コレクションとしても愛用できるため、楽しみながら投資できるのも魅力です。一方、金地金はインゴットや金の延べ棒とも呼ばれ、金を平らな板状にした形が特徴です。金貨のようなデザイン性はなく、金の純度が刻印されたシンプルな見た目をしています。貴金属店や地金商・買取り店などで購入でき、購入できるサイズは販売業者によって異なります。一般的には、1,000g(グラム)からの購入が一般的であり、500g未満の金地金を売買するときには手数料がかかります(図表1参照)。
(3)金投資の方法
次に、金投資の方法について見ていきましょう。第一に、純金積立は、定期積立預金と同じような感覚で、毎月決まった額や量で純金を購入していく方法です。積立方法は、定額積立と定量積立の2つの方法があります。定額積立は、毎月の1万円・2万円など積立額を設定して購入する方法です。1,000円単位から始められるのが一般的で、ドルコスト平均法を活用することもできます。一方、定量積立は毎月の金購入を金の量(グラム数)で設定する方法です。同じ量の金を購入するため、購入するタイミングによって積立額が変動します。積立をした金は、現金での引き出しや、金現物で受け取りが可能です。第二に、金に投資できる投資信託を購入する方法です。投資信託は、投資家から集めた資金を運用のプロであるファンドマネージャーが投資銘柄を選んで運用する投資商品です。投資信託のメリットは少額から金投資ができる点で、最低金額が100円から始められる金融機関もあります。第三に、金ETFを購入する方法です。ETFとは証券取引所に上場する投資信託のことですが、通常の投資信託との違いは、価格が証券取引所の営業時間内に何度も変動する点です。金ETFは、金相場に連動するように設計されており、株式と同じように売買できます。現物を保有しないため、盗難や紛失の心配がないというメリットもあります。第四に、先物取引による投資が挙げられます。先物取引とは、商品をあらかじめ設定した期日に決められた価格で売買する取引方法です。先物取引は買い手と売り手、どちらからでも始められます。現物購入とは異なり、レバレッジをかけられるため、短期で多くの利益を手にできるチャンスがありますが、大きく損をする可能性も高くなります。
(4)金投資のメリットとデメリット
金は歴史的に、あらゆる文明や国々で高い価値をもたらしました。金は美しい外観を持ち、通貨や貴金属に加工され幅広く世界に流通しています。国が発行する貨幣や企業が発行する株式とは異なり、世界中で金の価値が認められています。世界的に共通の価値を持つ金だからこそ、市場価値が高く、自然鉱物としての希少性もあるため、無価値になる可能性は低いとみられています。国が発行する貨幣は、国が財政破綻すれば価値は暴落し、株式も会社の業績が悪化すれば価格は下落します。投資先企業が倒産したりすれば、場合によっては価値がゼロになる可能性もあるのです。一方で、実物資産である金は、金そのものに価値があります。経年劣化や腐食による価値の低下が少なく、何十年も前に採掘された金でも、価値が落ちることなく世界で流通しています。インフレや経済の不況時にも価値を保ちやすく、取引の安全性・信頼性も優れている点も魅力です。
一方、金投資のデメリットとしては、金は資産そのものであり生産性を持たないため、保有しているだけでは利息や配当金などのインカムゲイン(資産の保有で得られる利益)を生み出しません。配当金や利息など定期的なキャッシュフローを求める投資家には向かない場合があります。また、金を現物で保有する場合、盗難や紛失のリスクがあります。そのため、金を保管するためのセキュリティ対策が必要です。このため、「強固な鍵や暗証番号つきの金庫に保管する」、「銀行の貸金庫や専門の金庫業者などの保管サービスを利用する」といった対策を取る必要があります。いずれも物品の購入費用や管理料・手数料などが発生します。金投資をしていることを他人に漏らさないように注意しなければなりません。知人・友人や親族にも可能な限り、内密しておいた方が盗難のリスクを減らせます。しかし、現物投資ではない投資信託や金ETFを利用すれば、盗難・紛失のリスクを軽減することができます(図表2参照)。
(5)金投資に関わる失敗事例と成功への近道
金投資に関わる失敗事例として、「タイミングの誤判断」、「分散投資の欠如」、「保管の不備」、「信頼性の低い取引先」の4つが挙げられます。なかでも、分散投資の欠如については、金のみを投資対象とすることはリスクを高める原因となります。分散投資は、リスクを軽減し、資産を守るための基本的な戦略です。金だけでなく、株式や債券、不動産などにも分散して投資することで、特定の市場変動に対するリスクを分散させることができます。また、金を購入する際に、信頼性の低い業者や専門店から購入すると、偽物を掴まされるリスクがあります。また、高額な手数料を請求されることもあります。信頼性のあるブランドコンシェルや専門店を選ぶことが重要です。
一方、金投資で成功している投資家は、常に学び続け、自分の投資戦略を改善しています。定期的に投資セミナーに参加し、新しい投資手法や市場の動向について学び続けているのです。これにより、常に最新の知識を持ち、柔軟に投資戦略を変更することができるようになります。金投資で成功するためには、長期的な視野を持ち、分散投資を実践し、資産価値を保護することが重要となります。ここでも専門家による適切なサポートを受けることが求められます。手数料をベースに取引をする金融事業者ではなく、長期的視点に立って適切なアドバイスと資産管理を行う金融事業者を選ぶことが大切です。売買によって手数料収入を増やすのではなく、資産形成と資産管理を重視している金融事業者こそ選ぶべき伴走者であると言えるでしょう。
(6)金の価格推移
最後に、金価格の推移を見てみましょう。金価格と米国の代表的株価指数であるS&P500の動きをみると、過去5年或いは過去10年でみると、金のパフォーマンスはS&P500のパフォーマンスに劣っていますが、過去20年でみるとS&P500のパフォーマンスを上回っています。このことは、金投資は株式投資に比べて長期投資に優れていることを示唆しています。図表4からもわかりますが、2019年から2020年の変化率が最も大きいという結果となっています。これは、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって経済への不安が高まる中、「安全資産」といわれる金の需要が増したためと考えられます。2019年から2023年までの5年間で、1グラム4,000円以上の高騰となっており、5年間の変動率はプラス72%です。これに対してS&P500の変動率はプラス80%となっています。天然資源である金は埋蔵量に限りがありますが、需要は安定しているため、今後も価格が高騰していくと予想されます。一定程度の金融資産を有しているならば、金投資をポートフォリオに加えることを検討してみては如何でしょうか。