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寄付文化と寄付×投資の可能性

寄付文化は日本でも広がりつつあり、第三者のために自己の資金を投じる「社会的消費」が定着してきています。当社ではこのような潮流をより加速させたいという想いから、2024年7月に寄付と投資を融合した一任運用サービスの提供を開始しました。当記事では、日本の寄付文化や海外との比較、寄付×投資の可能性について解説します。

(1)日本の寄付文化について

日本全体を見てみると、歴史的に社会を構築する主役は政治や行政・企業でしたが、1998年に特定非営利活動促進法が制定されたことにより全国各地に様々なNPO法人が設立され、社会構築を担う存在として注目を集め始めました。ちなみに、認定NPO法人に寄付を行った場合、個人、法人ともに、税制優遇措置を受けられるため、寄付に対するインセンティブが高まってきたことも追い風となっています。

2011年に起こった東日本大震災は、日本の寄付文化に大きな変化をもたらしたことから「寄付元年」と呼ばれています。2011年以前の個人寄付推計総額は例年4,000億円~6,000億円で推移していましたが、2011年は震災関係の寄付だけでも約5,000億円、震災以外の寄付を含めると1兆円を超える寄付総額となりました。また、寄付者率(1年に1回以上寄付した人の割合)も、2011年以前の33~34%から約2倍の68.6%と大きく跳ね上がりました。

この数値は一時的だと思われましたが、震災後も個人寄付総額は7,000億円前後、寄付者率は40%前後と、震災前を上回る水準で推移しています。また、2020年の個人寄付総額はふるさと納税の普及も相まって1.2兆円を突破しました。

個人寄付推計総額の推移

(2)社会的消費による寄付に対する意識の変化

ここ数年では、金銭寄付に限らず、第三者のために自己の資金を投じる消費行動である「社会的消費」も広がりを見せています。

2011年には、READYFORやCAMPFIREといった、インターネットを介して不特定多数の方から資金を調達

するクラウドファンディングのプラットフォームが日本で初めて登場しました。2013年にサービスを開始したMakuake(マクアケ)は、今後展開される新商品・サービスに対して先行的に商品の代金を支払うことで、支援者はリターンとして完成した商品を受け取ることができる「応援購入」を促すなど、様々な形のクラウドファンディングプラットフォームが登場しています。国内クラウドファンディング市場規模(新規プロジェクト支援額)の推移をみると、統計が取れている2014年からの5年間で約10倍の規模にまで成長しています。

また、2021年度に消費者庁より行われた「消費者意識基本調査」では、有名人やアニメ、ゲーム等のキャラクターなど、応援する対象にお金を使う消費形態である「推し活」が若年層において多くなっていることが明らかになりました。そのほか、2024年1月に起きた能登半島地震では、石川県が「能登のために、石川のために応援消費おねがいプロジェクト」への参画を飲食店や販売店・観光業等の事業者に呼び掛け、県内外問わず全国の22事業者が独自の取り組みを行うなど、「寄付」という概念に囚われない幅広い社会的消費が広がっています。

クラウドファンディング市場規模(新規プロジェクト支援額)の推移

(3)海外諸国との比較

このように近年寄付や社会的消費が定着しつつある日本ですが、海外諸国と比較すると日本の寄付市場はまだまだ発展途上だと言えます。2020年の日本の個人寄付総額1.2兆円が名目GDPに占める割合は0.23%であるのに対し、アメリカの個人寄付総額3,241億ドルは名目GDPの1.55%にも及びます。イギリスは2020年1~6月分のデータしかありませんが、半年で名目GDPの0.26%に及ぶ54億ポンドが個人により寄付されています

アメリカで寄付文化が根付いている理由としては、キリスト教の「富める人は貧しい人に分け与えるべき」という精神が根底にあることや、貧富の差が大きいことなどの精神的理由ももちろんありますが、税制優遇や寄付プログラムの整備が進んでいることも大きな理由だと考えられます。

アメリカでは計画寄付(planned giving)が広く実施されており、寄付年金、合同所得基金、事前残余信託、事前先行信託など多様なプログラムが存在します。更にアメリカでは個人の場合、公共の慈善団体への寄付金に対する所得控除は該当課税年度の調整総所得(adjusted gross income)の60%まで認められており、寄付金控除が認められる団体の数も130万を超えると推計されています。

※出典:「寄付白書2021」

(4)海外諸国における寄付×投資の取り組み

海外で近年大きく成長している寄付プログラムの一つに、ドナー・アドバイズド・ファンド(Donor-Advised Fund, 以下「DAF」)があります。DAFとは、専門の資産管理業者・金融機関等が設立した公益財団に個人が寄付口座を開設し、そこに寄付した資金を運用し、その運用益や運用原資を自身が指定したNPO等に寄付する仕組みです。1991年に米フィデリティが「フィデリティ慈善基金(Fidelity Charitable)」を設立したことを皮切りに、各金融機関が同寄付プログラムに参入し、米国では2022年時点でDAFを通じて521.6億ドルの寄付がありました。財団設立に代わる選択肢として利用者は拡大を続けており、DAFを通じた寄附額は2007年の114億ドルから15年で約4.5倍にまで拡大しています

※出典: National Philanthropic Trust (NPT), 「The 2023 DAF Report」

DAFの主な特徴は、以下の通りです。

・現金・株式・不動産等の多様な個人資金を寄付することができる

・寄付した年の調整後総所得の最大60%まで所得控除が可能

・寄付した株式・不動産の含み益や、その後の投資収益は非課税となる

・投資家はいつでもDAF口座から好きな寄付先・寄付額を指定可能

このように、海外では投資で資金を増やしつつ継続的に寄付を行う仕組みが整備されています。

(5)当社の寄付×投資サービス「IFA Leading Managed Account(IMA)」

日本においては、DAFのビジネスモデルをベースとした助成財団が2020年に設立されましたが、寄付×投資の取り組みは未だ一般的に広く根付いているとは言い難い状況です。DAF以外の寄付×投資の取り組みとして以下のようなサービスが既に存在しますが、それぞれに課題があると当社では考えています。

このような状況を踏まえ、当社では長期的な資産形成に資する国際分散投資をベースとした投資一任サービスに、独自の「寄付ポイント機能」を融合した「IFA Leading Managed Account (IMA)」の提供を2024年7月より開始しました。本サービスの寄付ポイント機能では、お客様から頂戴した手数料のうち一部を当社から「寄付ポイント」として還元するため、お客様自身の経済的リターンからの負担はありません。また、寄付プラットフォーム3社と提携しているため、4,000以上の団体からお客様の関心のある分野の団体を選択し、寄付することが可能です。

本サービスを通じて、少しでも多くのお客様に寄付を身近に感じていただき、自己の経済的リターンを得たその先に感じられる精神的リターンを享受いただけることを当社は願っています。本サービスにご関心のある方は「無料相談はこちら」よりお問い合わせください。

証券会社A社:運用残高の一部をポイントとして還元し、ポイントの使い道の選択肢として「当該証券会社が選択した寄付先(2,3団体)への寄付」を提示。ポイントの使い道は寄付以外に「投資に使う」「他社ポイントと交換」等の選択肢が存在し、寄付を積極的に働きかける取り組みとしてはやや弱い。
証券会社B社:当該証券会社が組成した商品の投資家平均保有残高の合計額の一部を、当該証券会社が寄付(投資家の負担は無し)。寄付先は証券会社が選定。寄付先の選定を金融機関が行うため、投資家の社会還元に対する意向が反映されない。寄付行為を金融機関が行うため、投資家が寄付実感を得られにくい。
証券会社C:当該証券会社のサービスで運用し、1年間で資産評価額が契約金額を上回った場合に資産評価額の一部を寄付(投資家の負担)。寄付先は証券会社が選定した5団体より投資家が選択。投資家が本来得るべき経済的リターンから寄付金を負担。寄付先が選定できるものの、選択肢が5団体と限られており、投資家の社会還元に対する意向が反映されにくい。
証券会社D:当該証券会社のFXサービスで運用し、取引数量に応じて社会貢献ポイントを還元。投資家は貯まった社会貢献ポイントを使って、当該証券会社が選んだ寄付先(5団体)に寄付することが可能。比較的ハイリスクな商品であるFX取引が対象となっており、投資家の長期的な資産形成にはそぐわない。寄付先が選定できるものの、選択肢が5団体と限られており、投資家の社会還元に対する意向が反映されにくい。

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