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10億円利息生活 ~資産の管理・運用は専門家にサポートしてもらうことが大切~

10億円利息生活と聞くと、一生優雅な暮らしができると夢が膨らむと思います。この記事では、10億円の金融資産を手にした際の利息シミュレーションや、大きな金融資産を保有した際に大切にしなければならない考え方を解説していきます。

(1)10億円の金融資産とは

人生に取って大切なことは「健康」、「おカネ」、「人間関係」であると言われています。ここでは、「おカネ」すなわち金融資産(純金融資産=金融資産-借入金)について考えてみたいと思います。通常、勤労者が金融資産10億円を貯めることは現実的ではありません。起業をして成功するか、遺産を相続するか、株式投資で大成功するか、宝くじで10億円当てるかといったことによって金融資産10億円を実現できるかもしれません。そういえば、年末ジャンボ宝くじは一等前後賞での当選金は10億円です。宝くじは課税されませんので、年末ジャンボ宝くじの一等前後賞に当たった人がどういった生活を送るかといった視点で考えてみたいと思います。ここでのお話は、ある勤労者の方が年末ジャンボ宝くじに当選して、年明け早々換金し、10億円の金融資産を基に利息(配当や分配金などを含む)でどのような生活を送ることができるかという仮説となります。

(2)どういった運用をするかで利息水準は大きく変わってくる

まず、10億円をどのように運用するか考えてみたいと思います。ここでは元本には手を付けないで、利息(≒配当、分配金といったインカムゲイン)のみで生活するパターンを考えてみたいと思います。そもそも金利または利回りは運用手段によって大きく異なってきます。メガバンクの定期預金に10億円預けた場合、1年後の手取り(税引き後)収入は100万円に過ぎません。東京スター銀行に預ければ300万円以上の手取り収入になりますが、幾つかの条件をクリアしなければなりません。次に株式投資で運用した場合、プライム市場の平均配当利回りは2.3%なので、手取り収入は1,800万円超となります。これならば、運用収益(インカムゲイン)だけで十分に生活できそうです。さらに、J-REITで運用すれば、分配金による手取り収入は4,000万円近くにまで膨れ上がります。但し、株式やJ-REITの場合、株価が大きく下落したり、業績動向によって配当や分配金が減少したりする可能性があることに注意しなければなりませんいずれにせよ、リスク分散という観点からは幾つかの金融商品を組み合わせて運用することが望ましいと思われます(図表1参照)。

図1 10億円の金融資産を預金または株式等で運用した場合の年間手取り収入試算

(3)余裕のある暮らしを維持するための必要資金とは

次に、総務省の家計調査を基に二人以上世帯の生活費について見ていきましょう。平均的な暮らしの月平均支出は約30万円であり、年間では360万円となります。尤も、この数値は全国平均であり、東京などの大都市での支出額は全国平均の1.3倍程度と言われています。ここでは余裕のある暮らしの月平均の経常的支出を平均的な暮らしの1.5倍と仮定して試算してみました。さらに、交際費、美容・健康維持費、趣味・娯楽費、自動車関連費用、住宅関連費用といった追加的支出を加えると月平均支出は94万円となり、年間では1,130万円ほどになります。

(4)裕福な暮らしを達成するための必要資金とは

さらに、裕福な暮らしの月平均の経常的支出は約59万円であり、年間では708万円となります。さらに、交際費、美容・健康維持費、趣味・娯楽費、自動車関連費用、住宅関連費用といった追加的支出を加えると月平均支出は159万円となり、年間では1,900万円超になります。この支出額であれば、株式投資による配当金収入で賄えそうです。裕福な暮らしを過ごしている超富裕層ともなると、交流に関する時間を大切にする傾向があります。こうした層の交流とは、情報収集であり、自己への投資といった意味合いになります。場合によってはリゾート地に別荘を購入するといったこともあるかもしれません。超富裕層にとって、「おカネの管理」は勿論ですが、「自身と家族の健康」、「人間関係」を何よりも大切にする傾向があります。したがって、健康や趣味に関しては思い切っておカネを使うことになります。そして、税理士をはじめとする専門家と契約をして、自分の時間を有益に使おうとする傾向が強いのも超富裕層の特徴といえるでしょう(図表2参照)。

図2 二人以上世帯の生活費に関わる試算・3つのパターンによる月平均支出

(5)10億円の利息生活から見えてくること

10億円の金融資産を目にすると、「ファーストクラスで世界一周」、「超高級料亭の貸し切り」、「ブランド品の買いまくり」といった姿が目に浮かびますが、こうした使い方は跡に残る使い方ではありません。確かにブランド品は跡に残りますが、時間とともに「中古品」として価値が下がってしまいます。賢いおカネの使い方というのは、跡に残る使い方だと思います。仮に、利息収入(配当金などを含む)が手取りベースで年間3,600万円、月平均300万円あったとしても散財する超富裕層は意外と少ないのではないでしょうか。超富裕層の関心事は、「自分自身の健康」、「子供たちの教育」、「社会還元」に集約されると思います。10億円の金融資産を保有している人が投資も何もせずに散財したら、資金は数年で底をついてしまうかもしれません。宝くじの高額当選者が、当選後に贅沢三昧をして自己破産してしまうといった事例は笑いごとではありません。10億円の金融資産があったら、まずは利息のみで生活することを基本として、分散投資によって元本を膨らませることを心掛けなければなりません。気がついてみれば、5年後には元本が15億円くらいに増えているかもしれません。その時、大切なことは、自分で管理・運用するのではなく、信頼できる専門家にサポートしてもらうことです。10億円の金融資産を保有しているということは、自由になるおカネを手にするということではなく、自由になる時間を手にすることができるという意味だと思います。

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