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インデックス投資とは ~長期分散投資に適した投資手法のひとつ~

インデックス投資とは、市場全体の値動きと同様の投資成果を目指す運用手法です。この記事では、インデックス投資の特徴や、昨今インデックス投資の割合が増えてきている理由などを解説します。

(1)インデックス投資とは何か

株式投資において、インデックス投資という言葉を耳にすることがあります。インデックス投資(パッシブ投資とも呼ばれる)とは、市場全体の値動き(指数の値動き)と同様の投資成果を目指す運用手法です。例えばTOPIX(東証株価指数)をベンチマークとするインデックスファンド(パッシブ運用ファンド)であれば、TOPIXに連動した投資成果(=プライム市場に上場する1,640銘柄すべてに投資した場合と同じ投資成果)が期待されることになります。これに対して、アクティブ投資という運用手法があります。アクティブ投資とは、株価の上昇が期待される銘柄を厳選して投資し、ベンチマークを上回る投資成果を目指す運用手法です。現在のところ、わが国で販売されている投資信託のうち8割がインデックス投資であり、アクティブ投資の割合は1割程度に過ぎません。10年程前にはインデックス投資の割合は5割程度でしたので、10年間で30ポイントも上昇したことになります(図1参照)。

(図1)株式市場におけるインデックス運用とアクティブ運用の違い		
	   インデックス運用	   アクティブ運用
 運用手法	 ✓ 市場全体の値動き(指数の値動き)と同様の	 ✓ 株価上昇が期待される銘柄を厳選して投資し、べ
	     の投資成果を目指す運用手法 	     ンチマークを上回る投資成果を目指す運用手法
 組み入れ銘柄数	 ✓ TOPIX:1,640銘柄、日経平均:225銘柄	 ✓ 数10~数100銘柄
 保有姿勢	 ✓ 売買をせずに長期で保有継続	 ✓ 機動的に短期で売買を行うケースがある
 エンゲージメント方針	 ✓ インデックス全体の底上げ	 ✓ 組み入れ銘柄のパフォーマンス向上
 エンゲージメント対象	 ✓ 時価総額の大きな銘柄	 ✓ 組み入れ銘柄全社
 エンゲージメント内容	 ✓ 議決権行使で企業に課題認識を促す。多くの	 ✓ 経営戦略や計画、取り組み状況や実績などを聞く
	     投資企業に共通するガバナンスやサステナビ	     「IRミーティング(取材)」を通して企業価値評
	     リティ、情報開示、資本効率、企業文化など	     企業価値評価を行う。IRミーティングのなかで
	   の課題をアジェンダに、複数の投資家が協働	     課題を指摘することもある。 
	     で対話を行う場合もある。

(2)何故、インデックス投資が増えてきたのか

それでは、何故、インデックス投資が増えてきたのでしょうか。本来、株式を運用するファンドマネージャーは、TOPIX(東証株価指数)や日経平均といったベンチマークを上回る投資パフォーマンスを求められてきました。しかし、現実には、ファンドマネージャーがベンチマークを上回る投資パフォーマンスを実現することは難しくなっています。さらに、アクティブ投資の場合、コストを掛けて企業を調査し、運用コストを掛けなければならないのに対して、インデックス投資では、リサーチコストや運用コストを低減できることもインデックス投資が拡大してきた背景になっていると考えられます。プロの運用者であるファンドマネージャーがベンチマークに勝つことが難しくなってきたために、少なくともベンチマーク並みの投資パフォーマンスが期待できるインデックス投資に傾注するようになったというのが、インデックス投資が隆盛を極めるようになった最大の理由なのではないでしょうか。投資する側からすると、プロの運用者が株価の上昇を期待される銘柄を厳選しても、結局は市場平均に勝てないのであれば、市場全体の値動きを示すベンチマークを買っておけば良いということになるわけです。

(3)インデックス投資の割合が高まってきたもう一つの理由

株式市場は長期的に上昇が期待できるというのが、インデックス投資における投資戦略の潮流にある基本原則です。したがって、市場とそっくりなポートフォリオを構築すれば、相場上昇に沿って値上がりすることになるわけです。また、インデックス投資では、ゆっくりと確実に利益を積み上げて、頻繁に取引しないため、取引コスト(手数料等)が低くなります。ファンドに払う運用手数料を回避することはできませんが、上場投資信託(ETF)では運用報酬が1%以下に抑えられています。また、インデックス投資は、どのような相場状況であってもベンチマークに連動します。すなわち、インデックスが好調なときはファンドも上昇しますが、インデックスが下落すればファンドは下がってしまいます。

わが国の株価は、1989年末をピークに長期低落局面を続けてきました。特に、2000年から2012年に掛けての株式市場は一段と低迷していて、インデックス投資をしても思うような成果が挙げられませんでした。株式投資をして資産が毀損するのであれば、現預金として保有しておいた方がマシであるといった状況だったのです。2000年から2012年に掛けては、株式市場のみならず、日本経済或いは日本社会全体が閉塞感に覆われていました。こうした状況の下では、インデックス投資によって投資パフォーマンスを上げることは極めて困難だったわけです。しかし、2012年末に安倍晋三氏が内閣総理大臣に復帰し、2013年春に日本銀行が異次元緩和政策を打ち出すと、株式市場は息を吹き返すことになります。 2012年初めに1万円だった日経平均株価は2024年2月には34年振りに過去最高値を更新し、同年3月には4万円台を付けることになります。12年余で株価は4倍に跳ね上がったわけです。このような状況下では、インデックス投資によって資産の増大を図ろうというインセンティブが働くことになるわけです。

(4)インデックス投資の特徴

それでは、インデックス投資の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。インデックス投資にもさまざまの金融商品がありますが、日経平均、TOPIX、ニューヨークダウ、S&P500といった代表的な指数は、毎日のニュースなどで取り上げられ、どのような要因で変動したか伝えられています。例えば、米国で金利低下政策に対する期待値が高まれば、消費や設備投資拡大を通じて企業業績が良くなることを予想して株価指数が上昇することになります。また、日本で与党が選挙で負ければ、政局が不安定となり、経済政策が後手に回ることを懸念して株価指数が下がることになります。一方、実質賃金(名目賃金上昇率-消費者物価上昇率)が増えれば、消費拡大を通じて経済成長率が高まると予想して、株価指数は上昇することになります(図表2参照)。

インデックス投資の2つ目の特徴は運用コストが抑制されていることです。前述のように、インデックス投資には、リサーチコストや運用コストが低いため、比較的気軽に売買することができて、保有コストを抑えることができます。そして3つの目特徴としては、短期間で大きなリターンを得ることは難しいことが挙げられます。株価指数であっても、半年や1年で50%も上昇することもありますが、通常は10~30%程度の値動きとなるのが一般的です。これに対して、個別銘柄では業績の大幅な増額修正、大幅な株主還元といった要因により短期間で株価が2倍、3倍になるケースもあります。インデックス投資では、このような大きなリターンを得ることは難しいのですが、安定的なパフォーマンスを得ることは出来ると思われます。ちなみに、毎月一定額を積み立てる積立NISAでは、S&P500などインデックス投資による金融商品が上位を占めており、資産運用の基本としてインデックス投資が認知されていることがうかがわれます。

(図2)インデックス投資の特徴及び成功のためのポイント	
 (1)インデックス投資の特徴とは何か?	
	 ✔ 値動きがわかりやすい ⇨ 日経平均、TOPIX、ニューヨークダウ、S&P500といった代表的な指
	     数は、毎日のニュースなどで取り上げられ、どのような要因で変動したのか伝えられています。
	 ✔ 運用コストの抑制 ⇨ インデックスファンドには、購入時手数料無料(ノーロード)の商品も多
	    く、気軽に売買することができ、保有コストを抑えることができます。
	 ✔ 短期間で大きなリターンを得ることは難しい ⇨ 個別株のように短期間で価格が2倍や3倍になる
	    ことは期待しにくい金融商品です。
 (2)インデックス投資を成功させるためのポイントとは?	
	 ✔ 長期投資 ⇨ 長期投資のメリットはリスクの軽減です。保有期間を長くすることによって、運用
	    コストの低減、短期売買による失敗を防ぐことができます。
	 ✔ 積立投資 ⇨ 積立投資とは、月に1回・5万円など、予め決められた頻度、金額で購入する運用方
	  法です。定期的に定期購入する方法は「ドル・コスト平均法」と呼ばれています。
	 ✔ 国際分散投資 ⇨ 国際分散投資とは、投資先の地域を分散して投資する方法です。最近では、オ
	    ルカン(オールカントリー)といった国際分散投資の金融商品も人気となっているようです。

(5)インデックス投資を成功させるためのポイント

最後に、インデックス投資を成功させるためのポイントについて見てみましょう。第1のポイントは、「長期投資」です。頻繁に売買を繰り返すのではなく、一度購入したらほったらかしにしておくことが大切です。気がついて見たら、価格が2倍、3倍になっているというのが理想的です。第2のポイントは、「積立投資」です。前述のように毎月一定金額を積み立てて購入することで、購入価格を平均化することができるわけです。振り返ってみると、雪だるま式に増えていたということになります。そして、第3のポイントは、「国際分散投資」です。日本のインデックス商品だけに投資するのではなく、米国や新興国のインデックス商品を含めたリスク分散をはかることも必要となります。但し、新興国については、情報の精度や頻度に問題のある場合がありますので、基本的には先進国のインデックス投資商品を中心に投資することが望ましいと思われます。

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