IFAL Times

 
2025.05.28 コラム

IFAとFPとの違いとは?

IFAとFPとの違いは、その役割や資格、業務内容に渡り、異なる点が多いです。この記事では、IFAとFPの違いについて、メリット・デメリットも踏まえ解説していきます。

(1)資産運用に対するスタンスが変わってきた

ある程度お金に余裕が出来たら、誰しも資産運用を考える時代になってきました。また、公的年金だけでは老後が不安なので現役で働いている時に個人年金を作っておこうといった人も増えてきているようです。さらに、企業経営者や一定程度の資産家においては、資産の管理は専門家に任せて自分はビジネスに専念したいといった声も耳にすることがあります。こうした資産運用・個人年金の組成・資産管理については、かつては金融機関がその役割を担っていました。しかし、最近ではIFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)、FP(ファイナンシャル・プランナー)といった専門家がサポートするケースが増えているようです。そもそも、資産運用・個人年金・資産管理については大手金融機関の独壇場だったはずですが、何故、IFAやFPが求められるになったのでしょうか。

(2)IFAのビジネスモデルとは

IFA(Independent Financial Advisor)とは、特定の金融機関に属さずに独立して資産運用の助言を行う金融アドバイザーのことです。銀行・証券会社・保険会社といった特定企業の営業方針に縛られないため、常に顧客のニーズを最優先した提案ができる点が特徴となっています​日本において金融商品仲介業者は金融商品取引法に基づき内閣総理大臣(金融庁)への登録を受け、IFAは金融商品仲介業者に所属し、業務を行います。(IFA個人が金融商品仲介業者としての登録を受けていることもあります。)IFAと従来の金融機関の営業担当者との最大の違いは、その独立性にあります。証券会社や銀行の社員は自社の販売方針やノルマ(営業目標)とは無縁ではいられませんが、IFAは特定の金融機関に属していないため会社本位ではなく顧客本位のアドバイスが期待できるのです(図表1参照)。

金融商品仲介業者(IFA)のビジネスモデル
・証券会社の委託を受けて、顧客に証券会社が取り扱う金融商品取引契約の仲介を行う
・法律上は、証券会社の委託を受けた形
・顧客のライフステージに応じ、資産計画の策定や資産関連の総合的なアドバイスを行いつつ、顧客の金融商品売買の実行支援をすることも可能
・保険代理店やFPなど他の業務と兼業している業者も多い

(3)FPが対応する相談テーマとは

次に、FPとは何か整理してみましょう。FP(Financial Planner)は、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家のことです。FPは、相談者の夢や目標を達成するために、ライフスタイルや価値観、経済環境を踏まえながら、家族状況、収入と支出の内容、資産、負債、保険など、あらゆるデータを集めて、現状を分析します。そして、相談者の立場や、ライフイベントを考慮したうえで、長期的かつ総合的な視点でさまざまなアドバイスや資産設計を行い、併せてその実行を援助します。また、必要に応じて、弁護士や税理士、社会保険労務士、保険・不動産の専門家、銀行・証券会社などの各分野の専門家のネットワークを活かしながらファイナンシャル・プランニングを行います(図表2参照)。

FPが対応する相談テーマの一例
家計管理
・日々の家計管理
・将来のための貯蓄方法
など
老後の生活設計
・老後の生活資金の準備方法
・老後の生活設計方法
など
教育資金
・教育資金の準備方法
・奨学金の活用
など
年金・社会保険
・公的年金制度の仕組み
・社会保障制度の仕組み
など
住宅資金
・住宅ローンの借り方
・住宅ローンの繰上げ返済と借換え方法
など
資産運用
・退職金の運用方法
・投資信託などの金融商品の仕組み
など
税制
・医療費控除や配偶者控除などの仕組み
・所得税などの仕組み
など
保険
・保険の仕組み
・必要な死亡保障・医療保障の考え方
など
介護・医療費
・介護費用の準備方法
・介護保険制度の仕組み
など
相続・贈与
・遺言や相続に関する準備方法
・子や孫への資金贈与
など

(出所)日本FP(ファイナンシャル・プランナー)協会資料等(https://www.jafp.or.jp/aim/fptoha/fp/)よりIFA Leading作成

(4)IFAとFPとの違い

ここで、IFAとFPの違いについて整理してみましょう。第一に、FPはあくまでも税制に関する概要説明やライフプランニング形成のサポートを行っているのに対して、IFAは個別の金融商品の提案・販売まで仲介してもらえます。第二に、FPは一般的な家計の見直し相談から、具体的な資産形成の相談まで幅広く対応しているため、複数の事柄をワンストップで相談できる利便性があります。これに対して、より具体的なアドバイスを求めている人にはIFAへの相談が望ましいといった見方もあります。第三に、FPの対象顧客は一般的な家計を対象としているのに対して、IFAの対象顧客は一定以上の資産を保有している層を対象としているケースが多いです。これは、IFAの場合、購入手数料や信託報酬に基づく報酬を基本としているため、顧客がある程度の資産を保有していることを前提としたビジネスモデルであるからです。なお、2025年4月24日現在、日本には696のIFA業者があり、全てのIFA業者は金融商品仲介業者として登録しており、この登録業者数は金融庁が公式に発表しています(図表3参照)

IFAとFPとの違いとは
IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)
(1)主な役割	 ✔ 金融商品取引業者等の特定の金融機関に所属せず、独立した立場で投資信託や株式など金融商品の販売や投資助言を行います。
(2)資格・登録	 ✔ 金融庁に登録を受けた金融商品仲介業者に所属し(または、個人で金融商品介業者として登録を受け)、外務員として登録される必要があります。
(3)報酬形態	 ✔ 販売手数料や信託報酬に基づく報酬が中心ですが、投資助言業や投資顧問業の登録を行い、顧客から直接アドバイス料を受け取る形態もあります。
(4)制限	 ✔ IFAは、金融機関と業務提携を結んでいるため、提案できるのは提携先の金融機関の取り扱い商品の範囲に限られます。
(5)顧客のメリット ✔ IFAは、銀行や証券会社などの金融機関に縛られず、提案の自由度が高い点が特徴です。そのため、顧客の利益を第一に考えたアドバイスが可能です。
FP(ファイナンシャル・プランナー)
(1)主な役割	 ✔ ライフプラン全般(相続、税金、不動産、保健など)に関する包括的なアドバイスを提供します。
(2)資格・登録	 ✔ 国家資格である「FP技能士」や、日本FP協会が認定する「AFP」「CFP」などがあります。
(3)報酬形態	 ✔ 「時間制」「個別作業」「顧問料形式」「その他の基準」といった種類があります。相談料の料金設定は、相談するFPによって違いがあります。
(4)制限	 ✔ 個別の金融商品(投資信託、株式、保険など)の販売や仲介、助言を行うには、別途の登録や資格が必要となります。
(5)顧客のメリット ✔ FPは、お金に関する総合的な知識を持っているので、自分に合ったお金の管理方法や資産形成手段を無料や低価格で教えてくれます。

(出所)日本FP(ファイナンシャル・プランナー)協会資料等(https://www.jafp.or.jp/aim/fptoha/fp/)よりIFA Leading作成

(5)IFAのメリットとデメリットについても理解することが大切

最後に、IFAを利用するうえでのメリットとデメリットについて整理してみたいと思います。IFAは、特定の金融機関に所属していないので、中立的な立場からお客様のライフプランに合わせた資産運用のアドバイスができる専門家として注目されています。金融先進国であるアメリカにおいては、IFAに相当するアドバイザーが数多く活躍していることが知られており、医師や弁護士と共に人生をサポートする専門家として認知されています。日本では、内閣総理大臣の登録を受けた金融商品仲介業者に所属し、金融商品仲介業者が証券会社などとの金融商品取引業者等と業務委託契約を結ぶことによって株式や投資信託などの売買の仲介を行っています。IFAは金融商品仲介業制度が導入されたことによってスタートしましたが、それ以前は、資産運用において、銀行や証券会社の窓口で相談することが一般的でした。しかし、これから資産運用を始めてみようという人にとってはハードルが高く、窓口となっている銀行や証券会社が注力している商品を主に勧められてしまうケースも多いことから、顧客目線での提案が受けられないというデメリットが生じてしまいます。その点IFAは、投資初心者からすでに投資を始めている方まで幅広いニーズに応えることができ、顧客にとって適切なアドバイスを受けることができます。

一方、IFAを利用するデメリットについても理解しておく必要があります。具体的には、①継続的にサポートを受けるため、手数料が発生する、②既存の金融機関に比べて企業規模が小さい、③当該IFAがどういったサービスを得意としているのか見極めにくい、といった点が挙げられます。但し、手数料については適切なサービスに対する対価であり、資産の運用・管理に関わる必要なコストと考えれば一定程度の負担は不可欠であると考えられます。いずれにせよ、金融商品が多様化し、ネット証券のシェアが高まるなかで、わが国でもIFAの存在意義が益々注目されていくと思われます。

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