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外国人労働者が増加傾向 ~外国人労働者無しではわが国の生活は成り立たない~
外国人労働者数は年々増加してきています。少子高齢化・人口減少が進む日本において、外国人労働者と共存する社会の醸成が必要になってきています。

- (1)外国人労働者は増え続けている
- (2)国籍別ではベトナム人が全体の25%を占めている
- (3)産業別では、宿泊・飲食業、建設業、医療・福祉での外国人労働者数が大きく増えている
- (4)今後とも外国人労働者は増えていく見通しにある
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目次
(1)外国人労働者は増え続けている
コンビニに行っても、居酒屋に行っても、商業施設に行っても外国人労働者を見かけない日は無くなりました。特に、都心部のコンビニで働いている人の大半は外国人であると言って良いかもしれません。厚生労働省のデータによると、日本で働く外国人は2024年10月時点で230万人となり、前年に比べて12.4%増えました。増加幅は25万人で集計開始の08年以降で最大となりました。2014年の外国人労働者は78.8万人だったので、10年間で約3倍に増えたことになります。この要因としては、人手不足を背景に企業が採用を強化したことが背景となっています。この結果、外国人労働者は就業者全体の3.4%を占めるようになりました。もはや外国人の手を借りなければわが国の日常生活は成り立たなくなっていると言って良いのかもしれません。

(2)国籍別ではベトナム人が全体の25%を占めている
次に、国籍別動向を見ると、ベトナムが57万人と全体の24.8%を占めており、次いで中国が40万人、フィリピンが24万人となっています。また、2024年はミャンマー、インドネシア、ネパール出身の外国人労働者が大きく増えましたが、これらの国では、「国内で仕事が無い」、「自国で働くよりも日本の方が賃金水準が高い」、「日本は労働環境が良い」といった理由で日本を選択しているものと見られています。厚労省によると、「東南アジアの労働者は受け入れ制度や治安といった要素に関して、韓国や台湾などと比較して、日本を選択しているのではないか」としています。また、労働政策研究・研修機構では、2025年時点の外国人労働者を230万人〜236万人としていましたが、現状は推計をやや上回って推移していることになります。日本政府は、深刻な人手不足を背景に、特定技能制度(一定の専門性・技能を持った即戦力となる外国人を受け入れることを目的とした制度)の見直しを進めています。2024年9月からは、タクシーや鉄道の運転など新たに4分野での受け入れを始めました。既存分野でも人数の上限を引き上げています。いずれ、タクシー、バス、電車の運転士が外国人といった時代がやってくるかもしれません。そうしなければ、わが国の社会生活が成り立たなくなっていることは間違いありませんし、現に定期バスなどでは運転手不足によって減便となる路線が相次いでいます。

(3)産業別では、宿泊・飲食業、建設業、医療・福祉での外国人労働者数が大きく増えている
また、産業別に外国人労働者の動向をみると、1位:製造業、2位:サービス業、3位:卸売・小売業となっています。次いで、宿泊・飲食業、建設業、医療・福祉と続いています。就業者数で見ると製造業が59万人で最大であり、サービス業(35万人)、卸売・小売業(29万人)となり、上位3つの産業で全体の54.4%と過半を占めています。一方、伸び率を見ると、最も高かったのが医療・福祉で28.1%増、次いで建設業が22.7%増、宿泊・飲食サービス業が16.9%増となっています。医療・福祉に関しては、特に介護などの福祉分野では、高齢化社会の進展により介護サービスを受ける利用者が増えているのに対して、低賃金などの影響もあって介護業に携わる日本人の就業者が増えていないことから、外国人でカバーしようといった動きを反映しているものと思われます。建設業については、そもそも現場労働者の高齢化に伴う離職に加えて、建設需要の高まりによって労働需給がひっ迫していることが背景になっているようです。また、宿泊・飲食業については、特に訪日外国人増加に伴うインバウンド需要の増加によってあらゆる分野での人手不足が顕著になってきています。観光地でのバス乗り場、飲食店では、外国人従業員が案内をしたり、注文を取ったりといった光景が日常化しているようです。
(4)今後とも外国人労働者は増えていく見通しにある
2025年以降も外国人労働者は益々増えていくものと見られています。外国人労働者の増加は、①労働力不足の解消、②インバウンド対応の強化、③多様性の向上、④海外進出の足掛かりなど多くのメリットに結びつくと考えられるからです。一方、コミュニケ―ション不足や文化の違いによるトラブル、言語や習慣の違いによる誤解、就労ビザの資格取得など労務管理の複雑さといったデメリットも指摘されています。外国人労働者の増加によって、治安悪化やサービス低下などが懸念されていますが、少子高齢化・人口減少社会が進んでいる日本社会においては、外国人労働者無しでは生活が成り立たなくなっているのが実態と言えるでしょう。したがって、経済が成長するためには、外国人労働者を排除するのではなく、外国人労働者と共存できる社会へと変えていく道しか残されていないのではないでしょうか。