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ブルーオーシャンとは
ブルーオーシャンとは、競争の激しい市場(レッドオーシャン)を避け、未開拓の市場で独自価値を創造する戦略であり、差別化と低コストを両立し、新たな需要を生み出すことが特徴です。
- (1)ブルーオーシャン(戦略)とは何か?
- (2)ブルーオーシャンとレッドオーシャンとの違い
- (3)ブルーオーシャン戦略の意義と成功事例
- (4)シルク・ドゥ・ソレイユはブルーオーシャン市場を開拓
- (5)ブルーオーシャン市場開拓にとって必要なこと
- IFA Leadingのアドバイザーにお気軽にご相談ください
目次
(1)ブルーオーシャン(戦略)とは何か?
ブルーオーシャン戦略という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ブルーオーシャンとは、競争の激しい「レッドオーシャン」から離れて、未開拓の市場を見つけ出す戦略のことを言います。具体的には、競争相手のいない或いは競争相手の少ない市場を見つけて、独自の価値を創造することで新たな需要を創造するというものです。そもそも競争相手の少ない市場なので、価格競争に巻き込まれるリスクは小さく、適正な利益を上げることができます。また、市場の成長によって売上高を伸ばすことも可能です。しかし、ブルーオーシャンが永遠にブルーオーシャンであり続けるとは限りません。いつしか、同じような製品やサービスが登場してやがては他社に駆逐されてしまうかもしれないのです(図表1参照)。
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イノベーション創出加速のためのデジタル分野における「ニューロダイバーシティ」の取組可能性に関する調査(経済産業省)、
(https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/neurodiversity/neurodiversityR4report_v1.1.pdf)、「経済産業政策新機軸部会 第4次中間整理(案)参考資料集」
(経済産業省)
(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/shin_kijiku/pdf/027_s01_00.pdf)の複数ページを基にIFA Leading作成。
(出所)メディア情報等を基にIFA Leading作成。
(2)ブルーオーシャンとレッドオーシャンとの違い
ブルーオーシャンの対局にあるのが、レッドオーシャンです。レッドオーシャンでは、企業が限られた市場シェアを争うため、価格競争やサービスの差別化が求められます。レッドオーシャンとは、大きく競合企業がパイを奪い合う既存市場を指しています。わが国のような成熟国では、ほとんどの市場がレッドオーシャンであると言って良いのかもしれません。わが国の上場企業における最大の課題として、諸外国に比べて収益力が低い点にあると指摘されています。企業の収益力の低さこそが「失われた30年」の元凶だったのではないかといった見方もあります。ちなみに、主要企業のROE(株主資本利益率)は、わが国が10%程度であるのに対して、米国は20%、欧州は15%程度と言われています。この数値はあくまでも主要企業の数値なので、全上場企業を対象にすると8%程度と一段と下がってしまいます(※)。このことは、わが国の多くの企業が、ブルーオーシャン戦略を十分に取り入れていないことを反映していると言えるのではないでしょうか。
※出所:東京証券取引所資料、経済産業省資料を参照
(3)ブルーオーシャン戦略の意義と成功事例
ブルーオーシャン戦略の大きな特徴は、低コストと差別化を同時に実現する点にあります。従来の競争戦略論では、低コストと差別化を同時に実現することは困難でした。しかし、ブルーオーシャン戦略では、バリュー・イノベーションという方法を用いて、低コストを実現しながら、顧客に提供する付加価値を高めていくことになります。バリュー・イノベーションでは、新タイプの価値を創出することにより顧客に高度な価値を提供します。同時に、提供する価値にメリハリをつけることで、無駄なコストを省き、低コストも実現します。このようにして、差別化と低コストを追求し、ブルーオーシャン戦略実現の土台を形作るのです。
ユニクロを例にブルーオーシャン戦略の成功事例をみてみましょう。ユニクロ(ファーストリテイリング)は、1984年に広島の裏路地から始まった一軒のカジュアル衣料品店が出発点であり、今では世界的なブランドとなっています。銀座店などは外国人観光客で溢れかえっていますし、海外市場もドンドン成長しています。1980年代のカジュアル衣料と言えば、スーパーマーケットの衣料品売り場か地元の衣料品店で購入するというのが一般的でした。ちょっと贅沢をするのであれば、デパートに足を運ぶということもありました。ユニクロが大きく注目されたのは、1994年に
発売した「フリース」です。ユニクロのフリースは、低価格ながら機能性や高品質なデザインに優れた商品で、色やバリュエーションを揃えたことで年間2,600万枚という大ヒット商品となりました。その後、ヒートテックやエアリズムといった機能性素材を活用した衣料品を相次いで投入し世界的企業に成長しました。衣料系企業は同様な機能性素材を活かした商品を投入しましたが、ユニクロの牙城を崩すには至っていません(図表2参照)。
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(出所)メディア情報等を基にIFA Leading作成。
(4)シルク・ドゥ・ソレイユはブルーオーシャン市場を開拓
もう一つブルーオーシャン市場の成功例としてシルク・ドゥ・ソレイユを見てみましょう。シルク・ドゥ・ソレイユとは、1980年代初頭に設立されたカナダのパフォーマンス軍団で、サーカスとエンターテイメントを融合させたスタイルで知られています。シルク・ドゥ・ソレイユは動物を使わないパフォーマンスが特徴であり、幾つかのグループに分かれて、世界各地でさまざまなテーマのショーを上演しています。シルク・ドゥ・ソレイユは、人間のパフォーマンスを最大限活かしたものであり、いわば大道芸人の劇場版といった方が良いかもしれません。多くの演者はオリンピックのアスリート級の実力持ち主と見られています。オリンピックの体操選手の場合、現役時代はそれほど長くなく、引退すると指導者等に転じることがほとんどなのですが、パフォーマンスを追求したいという選手は引退後、シルク・ドゥ・ソレイユなどに入団するケースもあるようです。とにかく、圧巻のパフォーマンスなので、是非とも生で御覧になることをお勧めしたいと思います。
(5)ブルーオーシャン市場開拓にとって必要なこと
最後にブルーオーシャン市場開拓にとって必要なことを考えてみましょう。第一に模倣されにくい独自性を持った価値を提供することが大切です。第二に、市場を新たに創造する発想力、顧客ニーズを発見する洞察力、業界の常識に囚われない柔軟な思考が大切です。そして第三に、サステナビリティを軸にしたビジネスモデルを構築し、確立することが大切になります。必ずしも大きな市場を追求する必要はありません。最近、世の中で困っていることとして、「レストランのドタキャン問題」、「メールやSNSを通じた詐欺被害」、「人手不足による現場の疲弊」などが挙げられます。こうした問題の一部でも解決の一助になる製品やサービスがあれば、ブルーオーシャン戦略として取り組んでみる価値はありそうです。
