在留外国人動向
~在留外国人は増え続けているが、国籍には変化がみられる~

在留外国人は増加を続け、2025年には過去最多を更新しました。本コラムでは、特定技能制度の拡大などを背景とした増加要因や国籍の多様化、大都市圏への集中傾向を整理するとともに、今後の労働力確保や共生社会の実現に向けた課題について解説しています。

2026.05.22

コラム

在留外国人動向
~在留外国人は増え続けているが、国籍には変化がみられる~

目次

01 在留外国人数は過去最高を更新し続けている

3月末、出入国在留管理庁は2025年末時点の在留外国人の人数が過去最多の412万人になったと発表しました。前年から35万人増加し、初めて400万人を超えたことになります。労働現場の人手不足を補う「特定技能」の受け入れが広がったことが主たる要因と見られています。コロナ禍の2020年、2021年には渡航制限により在留外国人は減少しましたが、2022年以降は増加傾向に転じています(図表1参照)。ちなみに、2025年末における日本の人口に占める在留外国人の割合は3.3%となっています。主要国の人口に占める割合をみると、オーストラリア30.4%、カナダ22.2%、ドイツ19.8%、イギリス17.1%、米国15.2%、フランス13.8%、イタリア11.0%、韓国3.5%、中国0.1%となっており、日本の場合、国内人口に占める外国人の比率は依然として低いものの、近年、その比率は上昇傾向を続けています(2024年実績データ)。ちなみに、移民とは、当該国以外の国籍を有している人を指しており、一定期間当該国に居住している人を指しています。在留外国人にはインバウンド(訪日外国人)など3カ月以下の短期の滞在者は含んでいません。2025年1年間で増加した35万人の規模は奈良市や長野市といった自治体の人口に匹敵する人数となります。

(図表1)わが国における在留外国人の推移

(出所)法務省・出入国在留管理庁資料を基にIFA Leading作成。各年12月末時点の数値。単位:万人、%。

02 わが国の在留外国人はどこの出身者が多いのか

それでは、わが国の在留外国人はどこの国の出身者が多いのでしょうか。2025年末のデータをみると、中国、ベトナム、韓国の順となっており、上位3カ国で全体の半数近くを占めています。国籍別にみると、中国が5万7,000人増の93万人で最も多く、次いで2番目のベトナムは68万人と4万6,000人増えました。ネパール(30万人)は前年から6万7,000人増え、顕著な伸びを示しました。今から10年以上前は、中国、韓国の2カ国で全体の3分の2程度を占めていましたので、出身国の分散が進んできたと言えるでしょう。中国、韓国(朝鮮半島)出身者の場合、戦前は仕事を求めて或いは留学目的で日本に居住していたケースが多かったようです。こうした在日一世の方から二世、三世へと受け継がれて現在に至っているわけです。二世、三世の人となると、日本の大学教育を受けた人も少なくなく、日本語には不自由しないけれど母国語(出身国の言語)は十分に話せないといった人も多いようです。バブル期以降、わが国ではさまざまな分野で在留外国人が増えてきました。フィリピン出身者からは飲食業に従事するケースが多く、ブラジル出身者は自動車工場などの担い手と期待されていました。そして、昨今では、ベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマー出身者が大きく伸びています(図表2参照)。

(図表2) わが国における在留外国人の国籍別、在留資格別動向

(出所)法務省・出入国在留管理庁資料を基に筆者作成。各年12月末時点の数値。単位:人、%。(注記)太字は当該分類内で伸び率の高い項目を示す。

03 在留資格別では、特定技能、留学、高度専門職などが増えている

一方、在留外国人を在留資格別でみると、特定技能、留学、高度専門職などが大きく増えています。特定技能制度とは、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。特定技能とは、①介護、②外食、③建設、④農業、⑤漁業、⑥製造業、⑦造船、⑧自動車運送業、⑨電気・電子、⑩情報通信、⑪繊維、⑫繊維製品、⑬金属、⑭プラスチック、⑮環境、⑯医療の16分野が対象となっており、 それぞれの業種ごとに実施される技能測定試験に合格する必要があります。日本の企業と雇用契約を結び、労働条件を明記した契約書が必要です。この制度は、日本での外国人労働者の受け入れを促進し、特定の産業分野での人手不足を解消するための必要な枠組みとなっています。

日本の外国人材受入れ制度は2025年現在、技能実習・特定技能・高度人材など複数の在留資格で構成され、改正入管法により2027年までに技能実習制度が廃止され「育成就労」新制度へ移行する見通しとなっています。技能実習制度(正式名称「外国人技能実習制度」)は開発途上国への技能移転を名目に導入された制度で、2010年代以降に受入れ人数が大幅に増加しました。一方、2019年4月には人手不足分野で外国人就労を認める「特定技能」制度が新設され、中間技能人材の受入れ枠が拡大しました。この他、専門的・技術的分野の高度人材は在留資格「技術・人文知識・国際業務」などで受け入れられています。技能実習制度は育成就労制度へ段階的に置き換えられ、

特定技能1号との接続が強化されることになります。特定技能1号で一定の実務経験と技能試験合格を経た外国人は、分野によって特定技能2号へ移行し在留期限の上限がなくなる(事実上の長期定着ルート)仕組みとなっています。特定技能2号への移行が可能な分野は当初「建設」、「造船舶用工業」の2分野のみでしたが、2023年6月の方針決定等を経て、特定技能2号の対象は『介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業』を除く11分野へ拡大されました。これにより、該当分野の外国人労働者は無期限の在留と家族帯同が可能となり、日本で長期就労・定着できる道が開かれることになりました。

04 都道府県別では大都市圏で在留外国人が増えている

次に、都道府県別在留外国人の状況をみると、1位東京都、2位大阪府、3位愛知県、4位神奈川県、5位埼玉県、という順番となっています。1位の東京都は、日本全国の在留外国人数(412万5,395人)の19.4%を占めており、日本にいる外国人の5人に1人が東京都にいることになります(図表3参照)。ちなみに、東京都における在留外国人の国籍TOP5は、①中国:305,303人、②韓国:93,251人、③ネパール:63,710人、④ベトナム:58,535人、⑤ミャンマー:39,561人となっています。東京都のなかでは、江戸川区、江東区などはIT系の仕事に従事するインド人が多く、インド料理店はもとよりインド人学校等も整備されているようです。インド出身者については、そもそもインドはITスキルを持つ就業者が多く、ITスキルを活かして在日企業(含む外資系)で就労するケースが増えていることが居住者の増加に繋がっているようです。

(図表3) わが国における在留外国人の都道府県別状況

(出所)法務省・出入国在留管理庁資料を基に筆者作成。各年12月末時点の数値。単位:人、%。(注記)太字は当該分類内で伸び率の高い項目を示す。

05 今後、在留外国人はどうなっていくのか

最後に今後、在留外国人はどうなっていくのでしょうか。外国人受け入れ拡大が進む一方で、移民政策の課題も浮き彫りになっています。労働力として外国人を受け入れるだけでなく、社会の一員として共生していくための環境整備が十分とはいえません。独立行政法人JICAの推計によれば、政府が目指す経済成長を実現するためには2040年に約688万人の外国人労働者が必要ですが、現在の延長線上では約97万人の人材不足に陥ると試算されています。(なお、本試算は一定の仮定に基づくシミュレーションであり、将来の確定した予測や成果を保証するものではありません。)したがって、日本の労働市場を支えるには相当数の外国人労働力が欠かせないことを示しています。人口減少が進む日本において、移民受け入れ拡大は避けて通れない課題となるでしょう。移民政策は先進国が直面する大きな課題のひとつです。移民拡大による労働力供給というメリット、日本人と外国人による社会制度の共有化(納税、社会保険、教育環境、住宅支援など)、人手不足の進展による国力低下といった問題に政府としてどのように対処していくかが強く求められていると思われます。

 

 

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加藤 映美

ウェルスマネジメント

加藤 映美

Emi Kato

2017年にSMBC日興証券本店に入社。個人・法人向け資産運用コンサルティング業務に従事する。 本質的な運用提案をしたいという思いと自身のスキルアップのため、2019年にIFAとして独立。 資産運用のみならず、法人保険や不動産などのソリューションも提供している。またセミナー講師も経験。 2022年にIFA Leadingの創業に参画。 美容情報収集が趣味で、専門分野のお客様も担当。皆様の人生を全力で楽しめるものにすべく資産運用で伴走します。

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