06.日米のIFAにおける違い

日米のIFAにおける違いについて解説します。米国では、人生に必要な専門家3人と言えば、医者・弁護士・ファイナンシャルアドバイザーと言われるほど、ファイナンシャルアドバイザーが身近で重要な存在です。
目次

IFAとは

IFAとはIndependent Financial Advisor(独立系ファイナンシャルアドバイザー)の略称です。IFAは、「金融商品仲介業者」に分類され、金融機関から独立した中立的な立場で、証券会社(=金融商品取引業者)の商品を仲介する資産運用コンサルタントです。

IFAの歴史

米国のIFAは1970年代頃より台頭したと考えられます。このころ広まりつつあったファイナンシャル・プランニングを志向するアドバイザーが、当時主流であった証券営業慣行に違和感を抱き、独立するようになりました。具体的には、金融機関に所属するFA(ファイナンシャルアドバイザー)は立場上、自社の商品を販売する際にお客様との利益相反が起こりやすく、それがそのままお客様の不信感につながりやすいという懸念が起こり始めていました。これに対してファイナンシャル・プランニングは、顧客の資産の全容を把握したうえで、顧客ともに人生のゴールを定め、そのゴールを達成する為のプランを作成することを目指していました。そのため、金融機関から独立する証券営業員が増え始めたという経緯があります。
その後IFAが民間に飛躍的に広まった背景として、大きく二つの出来事が挙げられます。2008年のリーマンショックなどの大きな経済的な危機・出来事が発生した際には、保有する金融資産が値下がりし大きな損失を被る人が多く現れました。彼らは金融商品を販売した金融機関の社員へ不満を抱いた上、損失を被った際に十分なフォローアップがなされなかったことで、ますます証券会社離れが加速することとなりました。その結果、お客様のニーズとして、自分に寄り添うことのできる資産運用のアドバイザーを求めるようになりました。
また、老後のための資産形成ニーズが高まったことも原因の1つです。高齢化はアメリカでも進行しており、老後を見据えた資産形成のためのアドバイスニーズが高まりました。

日本にIFAが誕生したきっかけは、2004年の証券取引法改正です。この法改正では証券仲介業が解禁されたことにより、証券会社以外の職種であっても金融商品を取り扱うこと(販売・勧誘含む)が認められることとなりました。日本でも米国同様、柔軟な働き方や金融機関の販売方針に縛られない独立性・中立性のあるサービスを長期にわたり提供したいと考えるアドバイザーが増えているという背景があると考えられます。

定義の違い

日本のIFAは、証券外務員資格を持っていることを前提に、証券会社との「金融商品仲介業業務委託基本契約」の締結を行ったIFA法人に所属している者であれば業務を行う資格を持っています。
他方、米国のIFAはSEC(米国証券取引委員会)に登録が必要であり、それぞれIBD(Independent Broker/Dealer)、RIA(Registered Investment Adviser)の2つに分かれています。

前者は独立系証券会社に所属し、当該証券会社の商品を中心に営業を行います。その性質から、IBDは金融商品を売買する際のコミッション(手数料)を報酬として得ることになり、この料金体系をブローカレッジ型と呼びます。

一方、投資顧問業者と呼ばれる後者は、顧客と投資顧問契約を結び、株式などの有価証券の分析に基づいた投資判断を助言することを仕事としています。フィー型と呼ばれる料金体系を採用しており、顧客資産の預かり残高に応じた手数料を得ています。つまり、お客様の資産が増えれば増えるほど得られる手数料が多くなっていくため、RIAはIBDと比べ、より顧客と同じ視点からのアドバイスが行いやすくなります。ただ現在では、IBDを辞めRIAに転身するものや、両者を兼業する「ハイブリッドRIA」の数が年々増えており、IBDの数が減ると同時にRIAの数は増加傾向にあります。

元々の性質が異なるIBDとRIAですが、実際は現在のIBDはフィー型の資産が大半を占めており、RIAも一部ブローカレッジ型を採用するなど、その垣根は極めて低くなってきています。また、ハイブリッドRIAが登場しているように、大きく分けてIFAとひとくくりにすることに問題はなく、以後本記事では(米国)IFAと表記します。

米国IFAと日本IFAの違い

米国のIFAが日本のIFAと違う一番の点は、手数料体系にあると言えます。
日本におけるIFAの手数料体系としては、主にブローカレッジ型が採用されています。すなわち、金融商品の売買の度に一定の手数料がかかり、売買が行われれば行われるほど、それに応じた料金がかかっていく仕組みです。商品によって違いは出るものの、手数料として一般的に取引額の1%〜3%程度がかかります。手数料の対価としてアドバイザーが提供する価値は、お客様のごニーズに合った商品を、マーケット環境等も鑑みて選別し提供する、いわばプロダクト起点のサービスであると考えることができます。
ブローカレッジ型の構造上の問題点として、売買の都度いただく手数料をIFA側の収入とするため、購入後のパフォーマンスに関わらず売買を繰り返すことがIFA側の収入増加につながる為、お客様とIFA側で「利益相反」となってしまう問題は否定できません。

一方、米国のRIAでメジャーな料金体系はフィー型です。
フィー型とはお客様の資産残高に連動して、預かり資産に対して一定の手数料を設定する料金設定です。手数料の対価としてアドバイザーが提供する価値は、お客様のゴールに沿って中長期的かつ継続的なサポートを実施することにあり、お客様のゴール起点のサービスであると言えます。
フィー型では、お客様の資産額が増えれば増えるほどそれに伴ってIFA側も手数料を得ることができる仕組みであることから、お客様とIFAが共に投資成功による資産増という目標に向かって歩むことができるシステムとなっています。また、ブローカレッジ型と比べて、お客様から預かっている金額分に対して手数料をかけるため、わかりやすく、透明性があります。
前述したように、米国ではIBDでもフィー型が大半を占めておりますが、日本ではまだまだブローカレッジ型が主流です。お客様の生涯のパートナーとして伴走していくIFAのモデルを考えると、日本のIFAもフィー型が拡大していくのではないでしょうか。

まとめ

日本と米国のIFAには、異なる歴史があることを背景にそもそもの定義から制度などの面で違いがあることを見てきました。ただ、IFAに関する歴史の浅い日本であっても人々の考え方・ニーズは基本的に大きくは変わらないと考えられ、IFA業界がより根付き、発展している米国の歴史をたどって、いずれ米国と似た制度・状況に至ると予測することもできます。その際には、米国はじめIFA先進国の歴史・現状を分析することも判断の参考になります。